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算数に苦手意識を持ってしまうお子さんがいますね。小学生のころは、現実に起こっている数の変化への経験が少ないですから、どうしても抽象化された数の操作を、約束にしたがって処理をしているということが多いんですね。わたしたち親も、「学生時代、どうしてこれを苦手だと思ってしまったんだろう」と感じるものはひとつ、ふたつあるのではないでしょうか。それは体験を積んでイメージができるようになったこと、そして問題文や解説文を読み取れるようになったからではないでしょうか。
お子さんたちが算数を「苦手、面倒だ」と思い始める項目は、「割り算」、そして「小数」「分数」などです。これらは「割合」がもととなっている項目です。
また、小学5年の後半になると、「比」「拡大・縮尺」なども混在した応用問題に取り組むようになります。そうなると、問題を読み取る力や思考力も必要になります。
そこで、分数や小数の概念を学ぶ前に、❶遊びや生活の中で経験している「数的体験」、そして、それをしっかりと身に着ける❷手を使って慣れる作業を並行して行うことをお勧めしています。
また、すでに学校で学習をしているけれど、小数に苦手意識を持ってしまったお子さんにも、❶の遊びや生活の中での体験を活用して、理解を深められるようにしてあげてほしいと思います。
子どもは楽しければ言わなくても前向きになれます。また、集中力も発揮してくれます。
そこで、1~100まで数えられるようになったら、下記のように「点つなぎ」のプリントに、手を加えて、まずは小数に慣れるようにしてあげてほしいと思います。
手を使って、何回か体験する過程で小数の順序などが身についてきます。それと並行して下記のような先行体験を実践してみてください。
点をつなぐものですが、数字が小数になっています。
この点つなぎをしながら、小数の順番やしくみに慣れていきます。
「1.0」は「いってんゼロと読むんだよ。
いってんゼロ、じゃあ、つぎは「いってんいち」って読むの?
そうそう。その順番で点をつなぐんだけど、まずは1.0から3.6までつなげるかな。
1.0はここだね。3.6はここだね。わかった。
1.0のつぎは、1.1で、1.2、1.3 ……、3.6までつながったよ。
あら、よくできたねぇ。
そうしたら、スタートの1.0と3.6をつないでください。って書いてあるよ。
赤マルの部分がつながったら、青マルです。
青マルは、3.7から5.7までをつなぎます。
そのあと、青マル5.7と赤マル2.9をつなぎます。
同じような問題をお家でつくることが可能ですよ。
下記の「ちびむすドリル」さんでは、点つなぎの問題をたくさん公開してくれています。そのプリントをダウンロードして、数字を小数に変えれば、練習用プリントをつくることができます。
下記のサイトを検索し、点つなぎのプリント中から「どれにしようか」とお子さんに声をかけ、お子さんが選んでくれたものを使うとよりよいと思いますよ。
小数に慣れてきたら、こんどは読み取り力を磨く工夫を加えます。すでに小数を学んだけど、「うまくいっていない。理解が進んでいない。」というお子さんにも活用していただきたいです。
小数が少しわかってきたみたいね。すごいじゃない。
そうしたら、次のミッションだって、挑戦してみる?
いいよ。
え~っと。
ミッションは全部で5つです。まずひとつ目だよ。
1、青5.5と赤2.8をつなぐ。
青5.5はここだね。赤は…2.8だっけ。赤の2.8は…ここだ。これを結ぶんだね。
上手だね。じゃあ、つぎのミッションは
2,赤2.3と青4.3をつなぐ。だって。
このように、お母さんがお子さんに寄り添いながらミッションに挑戦してもらってもいいですし、自分ひとりでやってみる、というのもよいと思います。
お子さんひとりで挑戦する場合は、ミッションを読み取る力も必要です。
ミッションへの挑戦をするかどうか尋ねた際に、お子さんが「自分ひとりでやってみる!」と言ってくれた時は、結果ではなく、そのやる気をほめてあげたいですね。
また、正解した場合はうんとほめてあげてください。
間違えたところがあったら、「ちょっとあせっちゃったんだね。直してみよう」とサポートしてあげてください。
小数に慣れる→慣れて身近なものだと感じさせる→並行して日常での体験をする
このような工夫がお勧めです。
上記のような手作業と並行して、具体物を使って理解を深めていきます。
小数は日常、目にすることができます。小数を見つけたら、お子さんに声をかけてみてください。
または、お子さんと「小数はどこだ!」とおうちの中でみかける小数を探してみるとおもしろいかもしれません。
小数はキッチンやお買い物先でたくさん見つけることができます。
特に食品のパッケージにある、「栄養成分表示」(下記)には小数がたくさん記載されています。
「小数をさがせ」やる?
やるやる!ぼく、負けないから。
あっ、もう見つけたよ。
えっ、そうなの~。
どこ、どこに小数があるの?
牛乳のここだよ。
左の牛乳には8.3と3.5。
まん中のは…8.3と3.5???
えっ、おんなじだね。
右のは、あれ~、また8.3と3.5。
みんな同じだ!
本当だね。よく気が付いたねぇ、すごい!
何が8.3で、3.5なのか調べてみようね。
ママもいっしょに調べるから。
同じような表示は、たくさんあります。
小数をきっかけに、その数字や割合が何を表すかを、お時間のあるときに、お子さんと検索してみてくださいね。
ジュースやバターの栄養成分表示から
今日は体重を量っておこうか。
うん、(体重計にのって)ママ~、24.3㎏だったよ。ちょっと増えたね。
あら、ほんとだ。よかったね。
身長も大きくなってるかもしれないね。
測っておこうか。
じゃあ、ここに立ってみて。
身長を測る際は、メジャーを使われることがあると思います。そこで、たとえば122.4㎝の場合、4mmを0.4㎝で表していることも体験させてあげることができます。
また、前回の記録との比較をすることができます。身長や体重を記録しておくメモやノートを作ります。その記録の近くに計算をする欄をもうけ、お子さんの前にで小数の引き算をしてあげるようにします。
お子さんに計算を見せることで、
❶ひっ算をきれいに書くこと、
❷ひっ算ではケタを合わせること、
❸引き算ができな場合は「お隣さんからちょっと借りてこないとね。」
「すみませ~ん、1つかしてくれませんか。」なんて話をしながら計算を続ければ、計算に楽しさを感じることができます。
❹借りてきたものは、10個の変化することも体験することができます。
小数計算はまだ学習していないお子さんでも、すでに学習をしているお子さんにも使える工夫ですね。
上記のような体験に慣れてきたら、身長や体重の記録をグラフにしてみます。
グラフ用紙を使うこともできますが、まだ、まっすぐな線を描けないというお子さんもいらっしゃると思います。グラフに慣れていないお子さんの場合は、Excelなどのソフトをつかって、グラフ化してみるとよいと思います。
●体重と身長を「はかる」について。同音異義語として出題頻度の高い「はかる」ですが、体重は重さなので「量る」、身長は長さなので「測る」を使います。このような漢字は、体重計に漢字を貼っておくとか、記録ノートの体重、身長の記録ページに漢字を大きく記載しておくなどの工夫をお勧めしています。
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