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連載「花まるママの奮闘記」

最初のお話「涼!行ってらっしゃい!」第一話

このお話について

フルタイムで働いているママの子育ては、ある先生が発した「子どものやる気は過去の体験に紐づいています」という言葉で大きく変化します。そこで忙しい中、ママは「体験ができるよう」家の中に無数の工夫を施します。また、親子でクッキングと称して、料理や掃除をしながら体験ができるよう工夫を実践しはじめたのです。この連載では、先行体験の具体例の紹介と並行して、先行体験がどのように活用され、どのように子どものやる気スイッチをオンにしていったのかをこの奮闘記を通してご紹介していきます。実際にお母さまたちが発案し、実践してきたものばかりですから、今日からでも、すぐにお子さんに実践できます。ぜひ、ご活用いただきたいと思います。

第一章終了まで無料(無料配信終了後は550円/1話 サロン会員・本会員は無料)
配信は月1回/月末から月初

第1回 家全体「体験できるゾーン」にするよ! 

 最初にご紹介する奮闘記の主人公・木島美海(みう)35歳は大手総合商社に勤務しながら6歳の男の子を育てるシングルマザー。美海は族にいうエリート。担当しているのは経営企画本部。さまざまな部署の問題を一緒に解決したり、部署と部署をつなげて新たなビジネスを生み出したりしている。

 まずは、美海がどうして「先行体験子育て」に挑戦しようと考えたかについてお話しよう。
 
 あれは美海が息子涼の6ケ月健診でのできごと。待合室で隣あった二人の女性の会話がきかっけだった。

お宅のお兄ちゃん、小学5年生でしょ。中学受験するの?

まあ、一応ね。でも本人はちっとも学習に身が入らなくて…。塾の宿題もあんまりやらないのよ。やる気は出ないし、教えてもすぐに忘れちゃうのよ。

この間、ある先生の講演会に行ったのね。そしたら、その先生が言うには「子どもの「やってみよう」「あっ、これ知ってる」というやる気スイッチは、過去の経験に紐づいています」って。だから、「やってみて」といきなり問題集なんて与えないで、まずは体験させることが大切なんだって。

まずはお家の中に時計がいっぱい!

 この話を聞いたとき、美海の全身にビビビッと電気が走った。
 「そうか、だから子どものころはいくら説明されてもわからなかったのに、体験を積んだ今は理解できているんだ」と納得できた。それならば、塾や習い事を始める前に家庭できることがたくさんあるじゃないか!と考え、「小学生がつまずきを感じやすい項目」なるものを調べた。
 すると、算数や理科を苦手と感じる子が多いこと。特に算数は「小数、分数、割合、比、速さ…」、理科は「物理分野の電気、力学、光、音、地学分野の地層、星などの天体」だと。
 そこで美海は、我が家を「自然と体験できる空間」に工夫すればいいのではないか。と考えた。

  まずは「習うより慣れろ」が実践できるよう、家の中に工夫をしてみようと考えた美海。
  (下記は美海と涼の住まいの見取り図)
  家の中で、まず目につくのはいたるところにある赤丸。
  この赤マルのところにアナログ時計を置いた。
  目につくところにはアナログ時計…という感じ。
  その上、3歳になった涼に腕時計を持たせ、その活用の仕方を、ことあるごとに伝えてきた。
  「伝えて」というと教えるように聞こえるから、正しくは「使い方を見せてきた」。
  おかげで涼は「時間」に関するさまざまなことを無理なく体験できたと美海は感じている。
  

たとえば① 数 ②たし算

涼、お風呂に入りたいんだけど、お片付けはいつ頃終わりそうかしら。

え~っと、今、長い針が「2」のところでしょ。短い針は「8」から少し進んでいるね。だから…20時10分だ。じゃあ…長い針が「4」のところまで待ってて。

わかった。長い針が4ということは20分ね。8時20分まで待ってるね。

 

たとえば① 数 ③ひき算

涼、たいへん、早く行かないと○○時に間に合わない。

ママ、大丈夫だよ。あと5分で出れば大丈夫だよ。歩いて○分だもん。

たとえば④分数・倍数

長い針が「1」~「3」まで移動したら、15分。1時間の4分の1進んだことになるんだよ。

ルビちゃん(チワワ・メス2歳)の散歩に行こうか。長い針が「12」から「6」まで。30分くらいで返ってこられるといいね。

(帰宅して)ママ、30分より時間がかかったね。だって長い針がもうすぐ「12」だもん。え~っと、1「12」から「12」だから1時間!1時間もかかったね。

ほんと、予定は長い針が「12」から「6」までの30分だったよね。なのに長い針さんはまもなく「12」を通過しそうです。予定の2倍。60分も散歩をしました。((´∀`))ケラケラ

 まだ、これからの課題だけど、時計を介しては⑤小数 ⑥角度 ⑦速さなども体験できると思う。それに大人になってからも大切な時間感覚。「集中している5分」、たった5分なんだけど、実は結構なことができたりするからね。これからも時計のある生活が当たり前、自然になるよう体験を「継続」させていきたいわね。
 

何気ない会話の中に、①数の体験 ②たし算 ③ひき算がふくまれています。
涼くんは、すでに1時間に文字盤の長針がひと回りすること、短針が「1」から「2」まで動くことを理解しました。そこで、ひと回りを「360度」、「1」から「2」、「2」~「3」と短針が1時間で移動する角度は「360度を12個に区切った角度」計算すると「15度」になることを美海は説明しています。

ⓑゾーン 我が家の植物園

 動植物とのふれあいは大切だと思う。涼が3歳のころからプランターで野菜を育てるようにしている。また、同じ時期にルビちゃん(チワワ)を飼い始めた。生きものから学ぶことが多い上に、どちらも言葉を交わすことができない、相手の立場に立って考える体験ができると思っている。

そろそろ水菜の季節だから、水菜を育てようか。水菜はアブラナ科の植物なんだよ。

じゃあ、黄色い花がさくんだね。

その通り、涼くんすごいね。

キャベツ、ダイコン、カブ、ミズナ、ブロッコリーにワサビ。みんなアブラナ科だよ。ママが歌ってくれたのを覚えたんだよ。

そうなんだぁ

  

第2回は美海家のⒸゾーンのお話です。

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