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五感を使って体験することの効用をいくつかご紹介しました。(№1「どうして五感を使うといいの」)その先行体験で得た知識に机上で出合った子どもが、「あっ、これ知っている!」とやる気を出してくれる姿はうれしいものです。
このときの「やる気」は、まだ小さくてこわれやすいものですが、その後の吸収力を高め、ゆっくりと影響を及ぼしてくれます。
№5「人はそれぞれ、力を積み上げ開花させるのに必要な時間がちがいます」でもお伝えしましたが、親子の時間は6歳までに365日×6=2190日、12歳までには4380日あります。焦らず、時間をかけて大切にしてあげてください。
「知識」は子どものやる気スイッチを刺激してくれます。ですが、幼児から学童期の子どもにどんどん知識を詰め込んでいいか、というとそうではないと思っています。
逆にまだ知識乏しいから、世界が際限ないように感じます。既成のものにしばられずに自由な発想ができるのだと思います。そういう意味において、中学受験を志すお子さんの学習には工夫や注意が必要だと考えています。
机上で与えられる学習に偏らず、五感を使って自身で体験したり、本などを読んだりしながら積み上げた知識は強いです。
知識が積み上がればあがるほど、体験する時の時間の密度がちがいます。「あっ、これ知ってる」と前向きになったあと、気がつくと「楽しい」が加わっていきます。
それは、植物や昆虫に興味のある子どもたちと森を歩いてみるとよくわかります。乗り物が好きな子どもたちと、電車や車、バスなどに乗ってみるとよくわかります。
自分の興味のある世界に足を踏み入れると、彼らを包むものが一変します。それは「やる気」をはるかに超え「〇〇したい」いう力を感じ、大人のコントロールが効かなくなります。自分から興味のあるものにどんどんと近づき、放っておけば納得いくまでそこを掘り進めていきます。そうやって手に入れたものは、「与えられたもの」とは雲泥の差で身についていき、あっという間に使いこなせるようになります。
こんなお話をすると「うちの子は熱中できるものがありません」とおっしゃるお母さんがいらっしゃいますが、彼らもちょっと知っているだけが、スタートだったんです。
子どもは、「今、やりたいことをやっていて充実しているよ」などとは言わないでしょうし、そんなことも感じないでしょう。ですが、「時間の密度が高い」と心地いい時間だとわかるはずです。時間を忘れてしまって打ち込んでいることが、ちょっといい気分なのではないでしょうか。まずは、そんな体験することをスタートとしてあげてください。お子さんが時間を忘れて取り組んでいるものや、時間があれば〇〇をやっている、そんなものがないか観察してあげてください。そこを入り口に「納得いくまで掘り進められるもの」を見つけられるような工夫をご紹介していきたいと思います。
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