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今回は№2「段階を踏んで、一歩ずつ伸ばす」に関連したエピソードを題材にお伝えします。第一子のお母さん、また高学歴をお持ちのお母さんやフルワーカーでバリバリ仕事をされているお母さんの例を挙げてご紹介したいと思います。
目次
春夫くんのお母さんは、初心者マーク。春夫くんが初めての子育てということで「お母さんの勉強室」に足を運ばれていました。
わたし自身、小学校6年生の担任の先生と折り合いが悪くて、勉強嫌いになってしまったんです。わが子は勉強嫌いにはさせたくないんですが、どのくらいの時期に、どんな塾に通わせればいいでしょうか。
春夫くんのママの「勉強を嫌いにさせたくない」という思いは、多くの親が共有できるものです。先輩お母さんからいろいろな意見をもらい、春夫くんのお母さんも納得して変えられました、ところが、それから1か月後のこと。「説明会に出向いたら、とてもよかったので幼児教室を始めることにしました」と連絡があり、それからさらに数週間後には「幼児教室の先生から、春夫は普通の子だといわれました」「教室の同じクラスの生徒さんを見ていると、春夫が遅れているのがわかります。幼児教室を変えた方がいいでしょうか。」という連絡が入ります。
このお話を聞かれたお母さんの中には、疑問を持たれる方が多いと思います。ですが、第一子の進路や進学、また学習についてはいろいろと考えすぎてしまうことがあるものです。その結果、方向を見失ったようになり、悩まれご相談に足を運ばれる方は決して少なくありません。それだけ子どもの教育とは軸が定まらないところがあるのだと思います。
春夫くんのお母さんは「息子は他のの子と比べて……」なんて不安がよぎっているところに、「春夫くんは普通のお子さんだと思います」という先生からのお言葉だったので、負のスパイラルに巻き込まれるようにどんどん悪い方に物事を考えてしまわれたんですよね。でも、「?」と思われることがあったら、ぜひ先生に質問してください。以前は相談といえば、直接、または電話でという方法でした。でも今はメールやLINEという便利なツールがあります。送信する前に自分の書いた文章を読み直し、客観的に自分の思考と向き合うこともできます。ぜひ活用されるといいですね。
人間の脳は「命を守ること」が最大のミッションだと考えています。だから危機管理の一環として、ものごとをネガティブにとらえる癖があります。乱暴な言い方をさせていただけば、お母さんもわたしたち現場の教師も「子どものため」という共通の旗印を掲げる同志ですから、チームワークが大切です。足並みが乱れるような感情を処理したり、上手に付き合えるよう工夫しなければなりません。
これはわたくしごとですが、お子さんをお預かりすると決めると、初めてお会いしたお母さまであっても長年の友のようなお付き合いをさせていただくことができると思っています。それは「子どものため」という同じ目的をもった同志のだと考えているからです。
塾などの体験学習に出向かれ、この先生ならと思われたのなら、まずは先生とお話をしてみてください。それでもうまくいかないと思われたときは、「子どもにとっては」という秤にかけて判断をし直してみてほしいと思います。
その後、春夫くんのお母さんは、ママ友の話やSNS情報から、突如中学受験の大手進学塾に入塾を決められました。お聞きすると、「大手の塾を友達に進められて説明会に、息子を連れて行ってみたんです。そうしたらお話がすばらしくて……」とのことでした。
中学受験塾の説明会に出向かれると、母の不安を解消できるうような魅力的なお話を聞くことができます。たとえば大手進学塾の膨大なカリキュラムについてです。
参加者の方の中には「この数年間で、ここまで勉強するんだ」「こんな内容ができるようになるんだ」「家にいたのではできない。だらだらと過ごしてしまうもの」とおっしゃる方いらっしゃいます。
また、その膨大なカリキュラムを大人が期待したように、どんどんこなせる子がいることもお話されます。「こんな子がいました。こんな風に学習してがんばりました。」のようにです。
たしかにこなしていける子はいます。ですが、何年もの時間をかけてステップバイステップで、その能力を磨いてきた結果なのです。
時間をかけて、ステップバイステップ。ことばでいうのは簡単ですが、6歳で小学校入学、12歳で中学受験や中学進学、15歳で高校受験と続きますから、その道のりには不安を感じることはありますね。
ですから、まずは説明会で話題にでる生徒はほんとひと握りだということ。多くの生徒は、何かしら積み残しをし、あれもこれもと不安を抱きながら、お尻に火をつけた状態でこなしていく。それでも受験を選択した場合、得られるものがあるという生徒が多いのは、そこに子どもを取り囲む大人の知恵や子どもの成長があるということを、頭の片隅においておいてほしいと思います。
中学受験をされる場合、その渦に巻き込まれると、その過程でさまざまな悩みと向き合ったり、その子に合わせた策を工夫をしなければなりません。ですから、親がバランスを崩すことのないように、「原点」にもどってこられるところを作っておいてほしいのです。
親は子育てに迷いますね。不安にもなります。自分が育ってきた時代とは違っていることが多々ありますからね。
でもそんなとき、まずわたしたち親が目指すところを思い出してください。
それは、子どもが社会に出たとき、それまでに体験したことや学んだことを活かせること。そして、それらによって彼らの日々は支えられ、その子らしいさを得る選択肢を増やせていることです。
そして、もう一つは、不安や悩みを解決してくれる策や工夫への答えは「すべて子どもの中にある」ということです。
たくさんの情報に埋もれてしまっている日々ですから、このことをときどき思い出してほしいのです。
親子の時間は子どもが6歳を迎えるまでに365日×6=2190日あります。12歳までには4380日もあることも忘れないでほしいのです。その時間を活かして、親子でさまざまな工夫ができますよね。そこに基準をおいていれば、情報は「参考にする」「子どものために活かす」ができると考えています。
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