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親子の時間でできること №3「子ども自身が決める、選ぶ、考える―『自分で』―を高めるには」 

ちょっと遠回りだと感じても、子ども自身が『自分で』考えたり、決めたりするための時間や機会は必要ですよね。わかってはいるのですが、親も時間に追われる、予定に追われるとその余裕を持てないことがあります。そんなとき、原点を確認しに帰ってきてください。いつでもお待ちしています。

子どもの視線で考えると

わたしたち大人は、自分は何ができて、何が不得手なのか、何を知っていて、何を知らないのかなど自分についての情報が蓄積されています。その情報に基づいて、何を体験したり経験したりが必要なのか判断できるわけですが、子どもの中にはまだ、それらを判断する能力は育っていませんね。

まずは目線を子どもの視線に合わせて、観察します。


小さな目標を決めます

たとえば、子どもと買い物に出かけるとしましょう。
子どもに視線を合わせてみると、「いっしょにいって、何か好きなものを買ってもらいたい」と思っています。
ほんの一例ですが、事前にこんな提案をしてみます。

今日は、小松菜かほうれん草のどちらかを買いたいの。いっしょに選んでくれる。

この声かけをきかっけに、ほんの一例をあげてみると
①「小松菜」と「ほうれん草」のちがいに意識を向けます。
② お母さんがどちらを選ぶかを観察しています。どんな基準で選ぶのかを体験します。
 鮮度、産地、値段などさまざまなことを、お母さんの所作と「ことば」を見て体験しています。
(ここではほうれん草を鮮度で見分ける際の声かけをご紹介しています)
このように「自分で」選ぶ、決めるなどを体験する際に、子どもがどんなことに興味を示すか、あるいは示さないか。また、どんなことを知らないのかなどを観察します。

あら、このほうれん草、鮮度はどうかな?(並んでいるほうれん草に視線を移し、お子さんに声をかけます)
【声かけの例】
①葉っぱの色が根ね、鮮やかな緑色をしているといいんだよ。
②葉っぱが大きくて、厚みがあるといいんだよ。
③茎は細めで、が小さめだとやわらかいんだよね。
が太いものは、畑でちょっと育ちすぎちゃったんだって。(子どもの手をとって)〇〇ちゃんの手はぷくぷくでやわらかいでしょ。ママのはそれと比べるとかたいでしょ。葉っぱも同じなんだね。
⑤葉っぱの先がピンとしていると、葉っぱの先まで水が行き届いているってこと。人間のお肌も同じだよ。
⑥根元のところを見て、(並んでいるほうれん草の根元を指さして)ほうれん草はここが赤いんだけど、この色が鮮やかな赤色のものは新鮮なんだよ。秋と冬ははっきりと赤くなるんだよ。

声かけの例6つをご紹介しましたが、ほうれん草ひとつを取り上げても、赤字の「ことば」を体験できます。また、①〜⑥について新鮮だといえる理由はなんなのか、などに派生していくことができます。(理由については、別途ご紹介しています)

さて、どれを買おうか。〇〇ちゃん、選ぶの手伝って。(ここで子どもに参加してもらいます)

子どもが「選ぶ」「決める」ことで、買ってきたほうれん草は特別なものになります。子どもが「自分で」を感じられる工夫のひとつです。ただ、子どもの「自分で」は不安定でこわれやすいものです。その場では楽しそうに選んでくれたのに、家に帰ったらすっかり興味をなくしていることがあります。忘れていることもあります。でも、子どもが「自分で」選んだ。という経験をくり返すことは、ミルフィーユ状に蓄積され、継続していくことで強固な土台のひとかけらになってくれるはずです。

ほめることへの気配り

親子で経験したことを、覚えてくれている。うれしい!という経験をされることがあると思います。ですが、その際、注意を払ってほしいのは、「ほめる」という行為です。親の期待に沿えた時、必要以上に喜んで見せたり、「ほめる」とそこに意識がいってしまい本末転倒となってしまうことがあります。

買い物の際に、体験させるものをひとつ決めて

子どものためとはいえ、四六時中このような工夫を意識していると疲れますね。お母さんが疲れてしまうと長続きしません。くり返すことが大切な要素のひとつですから、「子どもとの時間や、買い物を楽しみたい」、その中でできる工夫を継続的に練り込んでいけばいいと考えてください。
花マルでは、日常でのさまざまな工夫をご紹介していますが、「うちの子は〇〇の段階だから、今日はこれを」と、工夫の中からまずはひとつを選んでスタートしてくださいね。

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