
お電話でのお問い合わせ03-6869-1170
目次
【現状について】
初めてのカウンセリングでしたが、大人の顔色を見ることなく、自分の意見をハキハキ言える様子にとても感心しました。大人からすると、ヒヤッとすることもあると思いますが、今の状態を大切にしてほしいです。
家庭学習については心配な点がありました。
まず、どの学習に対しても「言われることを消化している」状態なのです。たとえば、音読を例にあげると「ここを読んでと言われたから読んだ」といい、その内容をたずねてみるとほとんど覚えていないようでした。音読=文字を読んでいるだけなのですね。また、難語集についても、お母さまが読んで意味を伝え、問題をやってみる。というやり方で進めていらっしゃるそうです。
そこで、昨日やった「あたかたもなく」という言葉の意味をたずねてみたところ、「わからない」「おぼえてない」という返答でした。そこで、「(彼が好きな)ウルトラマンレグロスに登場した怪獣に、町はあとかたもなく破壊され消えてしまいました。」というと、そのイメージで言葉の意味が理解できました。
彼のようなタイプのお子さんは、問題集を使った学習や親が教えるという方法より、自分の身近なものに紐づけて「ことば」を使う体験をする方が身につきやすいと思います。その方法を具体的にお伝えしました。
①大人の顔色を見ることなく、自分の意見をハキハキ言える様子
日頃から「(危険なこと・誰かを傷つけてしまうことでなければ)失敗をおそれなくていい」という教えのおかげです。自分の思ったことを言葉にできるということは、自分で考える機会を引き寄せます。「自分で考える機会」が多いほど、身につくことも多いものです。
② 音読はお勧めの学習方法ですが、「文字を読んでいるだけ」になっている子がいるので、その内容について親子で、楽しく話をする…そんな工夫を取り入れてみてください。
③ 今回のような書籍や問題集がたくさん発売されていますが、ゆうたさんのように学習したけれど身につかないというケースは少なくありません。また、言葉を「覚えるもの」「暗記するもの」と思わせてしまわないよう注意が必要です。
9月のサロンでご紹介した「コアラ」の文章です。
お子さんの興味をより引き出す声かけを下記にご紹介したいと思います。
1 コアラの赤ちゃんがお母さんのおなかのなかにいるのは、たったの35日くらい。
上記問題集81ページより
たった35日。1か月と5~6日だね。
ところで○○ちゃんはどのくらいママのお腹の中にいたでしょう。
※受精してから約38週間といわれています。
※「たった」ということばを体験します。
2 生まれたばかりの赤ちゃんはとても小さくて、一円玉くらいの大きさしかありません。
上記問題集81ページより
「一円玉くらい」って書いてあるね。一円玉ってどのくらいの大きさなんだろうね。
計ってみようか。
※直径20 mm、ここから体験できること
20m=2㎝
※1円玉以外の硬貨はいくつかの物質を混ぜ合わせた混合物です。
1円玉についてはアルミニウムのみの純物質です。
「純物質」という言葉も体験させておきたいです。
「1円玉くらい」は比喩表現です。
お子さんとの会話でできるだけ比喩を使うようにします。
ときには副詞の呼応(まるで~ように)も体験させてあげてほしいです。
3 それから長いあいだを、こんどはおかあさんのふくろのなかですごし、大きくなっていくのです。
ふくろのなかには、おっぱいが二つあります。ふくろにはいった赤ちゃんは、そのうち一つにすいつきます。するとくちびるがふくらんで、赤ちゃんの口にぴったりとくっつきます。
コアラやカンガルーのお母さんはおなかの中にあるふくろで赤ちゃんを育てるんだって。そのふくろの様子は下の動画で観られるんだよ。
4 五か月くらいになると、ふくろから顔を出すようになります。このころから、そばにあるユーカリを食べるようになりますが、そのために、とくべつのりにゅう食があります。それはおかあさんのふんです。でも、いつものぼろぼろしたふんではなく、やわらかくてねばねばしたとくべつのふんです。
上記問題集82ページより
え~、コアラの赤ちゃんって、おかあさんのふんをたべるの~。いやだぁ~
とくべつなりにゅう食って書いてあるね。りにゅう食ってなにかわかるかな。
わかんない。
りにゅう食はね、「離れる」「乳」の食って書くんだけど…
ミルクから、ふつうの食べる準備ってことかな~
ピンポン、正解!じゃあ、コアラのふつうの食べものってなにかわかる。
ユーカリを食べるって書いてあるね…
5 ユーカリの葉には、せんいがたくさんふくまれています。これを消化するために、コアラはとても長いもうちょうをもっています。もうちょうのなかのバクテリアで、せんいを消化しているのです。でも、赤ちゃんのおなかには、まだこのバクテリアがいません。それで、おかあさんのふんからバクテリアをもらうのだといわれています。これを「ふん食」といいます。
上記問題集82ページより
6 六か月くらいで、赤ちゃんはふくろから出てきます。動物園では、赤ちゃんがはじめて出てきた日をきろくしています。…
上記問題集83ページより
※▢設問番号6番から
この文章を三つの意味段落に分けるとき、それぞれの意味段落はどこからどこまでになりますか。段落番号で答えなさい。
上記問題集83ページより
意味段落分けの練習をさせるときは、内容を十分に理解できた状態でお願いしたいです。お子さんの中には「意味段落」「形式段落」はもちろん、「段落」の意味を深く考えずに問題を解いているお子さんが少なくありません。ただ、この問題の良いところは、三つの意味段落の内容が記載されています。たとえば
① 生まれてから三か月くらいまでのコアラの赤ちゃんの様子…のようにです。
これを足かがりに「意味段落とは」も含めて段落分けを体験させてあげてください。
11月はそれぞれの開催日にてサロンを予定しております。
サロンの内容については、専用サイトにて閲覧いただけます。
では、また次回お会いできることを楽しみにしております。
TOPにもどる
吉本笑子©IKUEI 当サイト内のすべての絵と文の転載はご遠慮いただきますようお願いいたします。